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2024年問題(3)罰則はある?5つの対策と事例を紹介

2024年問題に罰則はある?5つの対策と事例を紹介

2024年問題は、ドライバーの働き方に大きくかかわる問題です。
前回と前々回の記事では、おもに労働時間の変化やドライバー不足の観点から、2024年問題について解説しました。

今回の記事では、2024年問題において懸念されるドライバー不足・売り上げの減少・罰則を受けないための対策について解説します。
またすでに実践されている企業の事例についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

1. 時間外労働時間の上限規制に違反した場合の罰則は?

 

2024年問題が起こるのは、自動車運転業務における時間外労働の上限が年間960時間に制限されることが理由です。

この制限は労働基準法によって定められているため、違反すると労働基準法違反となります。

そのため「6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」という罰則を科せられる恐れもあり、注意が必要です。

自動車業務に従事する人間として大きな損失に繋がる可能性もあるため、違反しないようしっかり対策しましょう。

 

【関連記事】

「2024年問題で労働時間はどう変わる?職種別に解説」

 

2. 2024年問題への5つの対策

 

2024年問題への具体的な対策方法としては、以下の5つが挙げられます。

・運転以外の業務時間を短縮

・運賃や賃金の引き上げ

・業務中に発生する費用の徹底管理

・再配達などの回数削減

・ドライバーの確保

 

2-1. 運転以外の業務時間を短縮

 

ドライバーの労働時間は、運転以外の業務時間も含まれたうえで、上限が設定されています。

そのため、運転以外の業務時間を短縮し、労働時間内でより長く運転できるよう対策することが効果的です。

 

運転以外の業務時間とは、たとえば荷待ち時間といったものを指します。

荷待ち時間とは、おもにトラックドライバーに関係する、荷物の積み下ろしを行う間の待機時間のことです。

令和3年1月~3月にかけて国土交通省が実施した「トラック輸送状況の実態調査」によると、トラックドライバーの拘束時間のうち、平均荷待ち時間は1時間34分となっています。

しかし、この時間にはバース(トラックが接車でき、荷物積み降ろしなどが可能なスペース)に空きがない場合の待機時間なども含まれています。

そのため、バースに予約システムを導入するなどの対策をしてドライバーの待機時間を削減できれば、現状より長く運転できるというわけです。

 

また、タクシードライバーやバスドライバーなども、運転以外の業務は短縮できます。

たとえば、現場への直行直帰を原則とし、出勤・退勤に要する時間を短縮するという方法です。

タクシードライバーやバスドライバーには、勤怠状況を把握するため、出勤・退勤時に本社や営業所へ立ち寄らなければいけないケースがあります。

しかし、本社や営業所への立ち寄りを省けば、その分の労働時間を短縮可能です。

そのため、スマートフォンなどで勤怠状況を管理できるシステムを導入するなどの対策ができます。

 

2-2. 運賃や賃金の引き上げ

 

労働時間が減ることで、今まで残業時間で稼いでいたドライバーの賃金は減ります。

そのため、制限を超えない労働時間でもしっかり稼げるよう、賃金を引き上げる対策が必要です。

また、賃金の引き上げにともない、運賃や運送料の引き上げも必須となります。

 

現状、ドライバーの賃金は平均より低い水準です。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」によると、全職業の平均が1,265円であるのに対し、各種ドライバーの賃金は以下のようになっています。

 

・バス運転者 1,099円

・タクシー運転者 951円

・営業用大型貨物自動車運転者 1,186円

・営業用貨物自動車運転者(大型車を除く) 1,091円

・自家用貨物自動車運転者 1,093円

 

ドライバーの低賃金問題は、おもにタクシー業界や物流業界の価格競争が原因です。

業界の賃金水準を上げるためには、業界全体で運賃や賃金の見直しを行う必要があります。

 

2-3. 業務中に発生する費用の徹底管理

 

ドライバーの賃金が低い背景には、運送以外に発生する付帯業務料金や高速道路料金などをドライバーが受け取れていないという事実もあります。

 

とくに問題となっているのは、トラックドライバーです。

令和3年1月~3月にかけて国土交通省が実施した「トラック輸送状況の実態調査」によると、荷役(荷物の積み下ろし、倉庫やヤードなどへの入庫・出庫を総称した作業のこと)の料金を収受していないドライバーの割合は66.9%となっています。

さらに、高速道路料金を収受していない割合も61.6%と、高い水準です。

つまり「半数を超えるトラックドライバーが無償で荷役業務を行い、高速料金も自腹で払っている」ということになります。

 

高速道路料金が収受できていない問題は、タクシードライバーも同様です。

高速を利用して目的地へと向かった場合、目的地までの高速道路料金は客へ請求されます。

しかし、目的地で客を降ろした後の帰りの料金は、タクシードライバーやタクシー会社が負担することがほとんどです。

こうした運送以外に発生する費用もドライバーが受け取れるようにするため、対策が求められています。

 

2-4. 再配達などの回数削減

 

ドライバーの労働時間を増やさないためには、運送1件に対する時間や手間を削減できるような対策も必要です。

とくに、ドライバーサービスを利用する消費者側として、削減対策を意識するようにしましょう。

 

たとえば、物流における再配達の回数削減は効果があります。

1度の訪問で済ませられれば、何度も荷物を運ぶ時間と手間を削減可能です。

 

また、タクシーやハイヤーにおいても、迎車や目的地の急な変更を控えるなどの協力ができます。

スムーズな運送が行われるようになれば、ドライバーの負担を軽減可能です。

 

2-5. ドライバーの確保

 

ドライバー1人あたりの労働時間を減らすためには、十分なドライバーの確保も行わなければいけません。

 

現状、ドライバー不足は深刻化しています。

2024年1月30日付の厚生労働省による「一般職業紹介状況」では、自動車運転従業者の有効求人倍率(求職者1人に対して、何人分の求人があったかを示す割合)は2.79と高い水準です。

 

ドライバー不足は、ドライバーの高齢化や運転免許制度の改正など、さまざまな要因によって引き起こされています。

さらに今後は、2024年問題によってもドライバー不足が進むと指摘されています。

そのため「福利厚生をより充実させる」「資格取得制度や資格取得手当を設ける」などの早急な対策が必要です。

 

【関連記事】

「2024年問題でドライバー不足はなぜ起こる?2つの原因を解説」

 

3. 2024年問題の対策事例3つ

 

2024年問題への対策は、すでに行われている事例もあります。

おもな事例は、以下の3つです。

・デジタルツールの導入

・輸送方法の見直し

・拠点の見直し

 

3-1. デジタルツールの導入

 

ドライバーの労働環境改善や業務効率化のために、デジタルツールを導入している事例があります。

 

たとえば、実際に導入されているツールとして、デジタルタコグラフが挙げられます。

デジタルタコグラフとは、デジタル式運行記録計とも呼ばれ、運転の速度・走行時間・走行距離などの運行データを自動で取得し、記録できる機械です。

デジタルタコグラフで取得したデータは、ドライバーの業務効率化に向けて活用できます。

 

また、乗務記録などの帳票作成事務や、運行データの記録・保管に費やしていた時間と手間も省けます。

運転以外の業務時間を削減でき、2024年問題対策に効果的です。

 

3-2. 輸送方法の見直し

 

自動車以外の輸送を実現することで、ドライバーの負担を軽減している事例もあります。

 

鈴与株式会社ではフェリー輸送を導入し、トラック以外の方法で長距離輸送を実現しました。

トラックドライバーに頼らず輸送できるため、2024年以降ドライバーの労働時間が制限された場合でも対応できます。

 

人の移動の場合も、なるべくタクシーではなく電車・バスを利用することで、タクシードライバーの負担を軽減できるでしょう。

 

3-3. 拠点の見直し

 

運転距離が長くならないよう、拠点の配置を見直す動きも進んでいます。

 

従来では、拠点を集約することで人件費や設備のコストを減らす方法が主流でした。

しかし、今後は運転時間を減らしつつ、長距離を移動できるようにしなければいけません。

そのため、拠点の配置を見直し、荷物や人を中継できる場所を増やす対策が必要です。

 

4. まとめ

 

2024年問題の発端となる「時間外労働の上限は年間960時間まで」という制限は、労働基準法によって定められているため、違反した場合は罰則があります。

そのため、制限を超えないよう、ドライバーの働き方について対策が必要です。

対策方法には、デジタルツールの導入や運賃・給料の引き上げなど、さまざまなものがあります。

 

とくに重要なのは、ドライバーの人数を増やすことです。

現状、ドライバーの有効求人倍率は高い水準となっており、ドライバー業界は売り手市場です。

そのため、運転手として採用されやすい状態となっています。

運転の仕事に興味がある方、車の運転が好きな方は、ぜひこの機会にドライバーを目指してみてはいかがでしょうか。

 

おすすめは、役員運転手というドライバーです。

役員運転手は企業の役員や会長などの送迎を行うドライバーで、普通自動車第一種運転免許のみで従事できます。

そのため、初心者でも挑戦しやすいことが特徴です。

 

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