タクシードライバーになるには?必要な資格や事前に押さえておきたい準備
2025年01月23日
タクシードライバーになるには、どのような準備をすればよいのでしょうか?
運転が好きで仕事にしたいという思いがあっても、タクシードライバーとして生計を立てるには、理解しておくべきことがあります。
必要な資格の取得方法やかかる費用について事前に調べておくことも重要です。
本記事では、タクシードライバーになるにはどのような準備や注意が必要なのかについての詳細を記載します。
タクシードライバーを志す方はぜひ参考にしてください。
目次
1.タクシードライバーになるには?全体像を解説
タクシードライバーになるには、いくつかクリアすべきステップがあります。
この章では、タクシードライバーの仕事内容、やりがい、そして未経験からでも応募できるのかなど、全体像を解説します。
1-1.タクシードライバーの仕事内容
タクシードライバーの仕事内容は、以下のとおりです。
・顧客を安全に目的地まで運ぶ
・顧客とのコミュニケーション
・車両の点検・清掃
・乗車記録
・忘れ物管理 など
これらの業務を通じて、お客様に満足していただけるサービスを提供することが、タクシードライバーとしての基本的な役割です。
関連記事:タクシードライバーの仕事内容とは?働き方・魅力・収入を解説
1-2.タクシードライバーのやりがい
タクシードライバーの仕事には、以下のようなやりがいがあります。
・乗客から感謝される
・運転技術の向上を実感できる
・頑張り次第で収入が増える可能性がある
大変な面もありますが、さまざまなやりがいを感じられる仕事です。
1-3.未経験からの応募の可否
未経験からでもタクシードライバーになることは可能です。
多くのタクシー会社では、入社後に必要な研修制度や資格取得支援を実施しています。
また、未経験者向けのサポートとして、運転研修や接客マナー研修を行う企業も少なくありません。
さらに、未経験者に向けて「入社祝い金」や「初年度の最低保証給与」を設定して、安心してスタートできる環境を整えているタクシー会社があります。
2.タクシードライバーになるために必要な資格
タクシードライバーになるのに必要な資格として、普通自動車第二種運転免許があります。
この章では、第二種運転免許の詳細や取得方法、難易度などを解説します。
2-1.第二種運転免許の詳細
第二種運転免許は、旅客を有償で運送するために必要な資格です。
取得条件として、普通運転免許を取得してから3年以上経過していることが求められます。
試験内容は、学科試験と実技試験があり、運転技術だけでなく、安全運転に関する知識も問われます。
第二種運転免許には「大型二種」「中型二種」「普通二種」などの種類があり、タクシードライバーには主に「普通二種」が必要です。
2-2.第二種運転免許の取得方法
第二種運転免許の取得方法は2つあります。
・教習所に通う
・一発試験を受ける
教習所に通わず直接試験を受ける一発試験は、合格率が低いため、教習所を利用するのが一般的です。
教習所によっては、タクシー会社と提携し、費用の一部を会社が負担するプランを提供しています。
2-3.第二種運転免許の難易度・取得に要する時間
第二種運転免許の難易度は、第一種免許よりも高いですが、教習所での指導を受けることで多くの人が合格しています。
教習所に通う場合、最短で10日~2週間程度で取得可能です。
一発試験の場合、合格率が低いため、取得までにかなりの個人差が出てしまいます。
地域によっては、自治体がタクシードライバー育成のために補助金を提供している場合があります。
3.タクシードライバーの勤務先の種類と特徴
タクシードライバーの勤務先として、以下3つが挙げられます。
・大手タクシー会社
・中小規模のタクシー会社
・個人タクシー
それぞれの特徴を理解し、自分に合った勤務先を選びましょう。
3-1.大手タクシー会社
大手タクシー会社は、知名度が高く、従業員数や車両台数が多い傾向にあります。
また、労働環境が整っている傾向にあり、安心して働けるでしょう。
3-1-1.働き方・勤務体系
大手タクシー会社では、昼日勤、夜日勤、隔日勤務と勤務体系の選択肢があるため、自分のライフスタイルに合った働き方ができるでしょう。
また、研修制度が充実しており、未経験者でも安心してスタートできる環境が整っています。
都市部では、無線配車やアプリ配車の利用が多く、効率的に乗客を獲得できる仕組みがあります。
3-1-2.給与・収入
大手タクシー会社では、給与システムとして基本給+歩合給を採用しており、歩合の割合は企業ごとにさまざまです。
大手の特徴として、最低保証給与制度を導入している場合が多く、収入の安定性が高い傾向にあります。
また、都市部においては、配車アプリの普及や企業との契約サービスが充実しているため、効率的な営業が可能となり、より高収入を期待できます。
ただし、大手タクシー会社はその他に比べて歩合率が低い傾向にあるため、どれだけ頑張っても収入に反映されにくい可能性があります。
3-1-3.どのような人が向いているか?
大手タクシー会社は、以下のような人に向いています。
・安定した収入を求める人
・未経験から安心して始めたい人
・充実した研修やサポートの中でスキルアップを目指す人
・効率的な働き方をしたい人
・都市部で働きたい人
これらに当てはまる人は、大手タクシー会社の求人を探してみましょう。
3-2.中小規模のタクシー会社
中小規模のタクシー会社は、大手と比べて規模は小さいものの、地域に密着したサービスを提供していたり、働きやすい環境が整っていたりする会社があります。
会社によって待遇や制度には差があるため、入社前によく確認しましょう。
3-2-1.働き方・勤務体系
中小規模のタクシー会社は、地域密着型の運営が多く地元住民や常連客を中心にサービスを提供します。
勤務体系は大手と同様に昼日勤・夜日勤などのシフト制が一般的です。
管理者と従業員の距離が近くアットホームな雰囲気の場合、勤務の自由度が高くなり柔軟な働き方ができる可能性があります。
3-2-2.給与・収入
中小規模のタクシー会社の給与体系は、基本給+歩合制が多く、大手よりも歩合率が高い傾向にあります。
そのため、頑張った分だけ収入に反映されやすいのが特徴です。
ただし、地域によっては季節や需要によって収入が左右されることがあります。
3-2-3.どのような人が向いているか?
中小規模のタクシー会社は、以下のような人に向いています。
・地域密着型の働き方がしたい人
・地元の人間関係を活かしたい人
・大手よりも自由度の高い環境で働きたい人
・働いた分収入アップしたい人
・走り慣れたエリアで仕事をしたい人
中小規模のタクシー会社は、個人の裁量が大きく、アットホームな環境で働きたい人に適しています。
また、自身の努力次第で収入を増やせる可能性も高いため、やる気のある方に向いているといえるでしょう。
3-3.個人タクシー
個人タクシーは、運転手自身が経営者として運営するタクシー事業です。
どのような働き方なのか見ていきましょう。
3-3-1. 働き方・勤務体系
個人タクシーの最大のメリットは、自分のペースで働けることです。
勤務時間や休日などは、基本的に自分で自由に決められます。
また、地域や時間帯を選んで営業することも可能です。
ただし、自由な働き方とは裏腹に、営業区域や規制に従う必要があったり、自分で営業活動を行ったりするなど、責任もともないます。
3-3-2.給与・収入
個人タクシーは完全歩合制で、収入は自分の営業努力や工夫次第です。
完全歩合制は、高い収入が期待できる一方で、収入が不安定になるリスクもあります。
また、車両の維持費やガソリン代などの経費も自己負担となります。
3-3-3.どのような人が向いているか?
個人タクシーは、以下のような人に向いています。
・独立志向が高く自分のペースで働きたい人
・地域の地理に詳しい人
・営業努力を惜しまない人
・経営の知識がある人
個人タクシーは、自由度が高く、努力次第で高収入を得られる可能性がある一方で、事業者としての責任やリスクもともないます。
自己管理能力が高く、積極的に仕事に取り組める人に向いている職業といえるでしょう。
4.タクシードライバーになる前に知っておくべき注意点
タクシードライバーは、未経験でも就業できやりがいがある一方で、いくつかの注意点があります。
注意点を把握したうえで、タクシードライバーに転職するか検討しましょう。
4-1.勤務体系が不規則になりやすい
タクシードライバーの勤務体系は、昼日勤と夜日勤、隔日勤務と3つあります。
昼日勤の場合は、土日休みではないですが会社員と同じように朝から夕方までの8時間勤務のため、そこまで不規則にならないかもしれません。
しかし、夜日勤や隔日勤務の場合は、働く時間帯が遅かったり1回の勤務時間が長かったりして、不規則になりやすい傾向にあります。
会社員のように土日休みで8時間勤務を希望する場合は、タクシードライバー以外の仕事も視野に入れてみましょう。
4-2.顧客とトラブルが生じかねない
タクシードライバーは顧客とトラブルになる可能性があります。
難癖をつける顧客や認知症の方、酔っ払いなどはトラブルに発展する確率が高くなります。
特に、深夜は周りに助けを求められないかもしれないため、トラブルを想定して勤務しましょう。
昨今のタクシーには、ドライブレコーダーや防犯仕切板、防犯カメラなどが対策されている車両が多いですが、トラブルが起きる可能性を念頭に置いておいたほうがよいでしょう。
トラブルが不安な方は、トラブル対応マニュアルや緊急時のサポート体制が整備されているタクシー会社を選ぶのも1つの方法です。
4-3.収入が不安定になりやすい
タクシードライバーの給料は歩合制が多いため、収入が安定しない場合があります。
安定した収入を求める方には向いていませんが、自分の頑張り次第で収入をアップしていきたい方には適しています。
タクシードライバーとして安定した収入がほしい方は、大手タクシー会社など固定給がある会社を探してみましょう。
5.【正社員編】タクシードライバーになるには?3つのステップ
正社員としてタクシードライバーになりたい方は、この章で解説する3つのステップにそって行動してみましょう。
5-1.勤務体系や働く会社を選ぶ
タクシー会社には、大手、中小規模などさまざまな選択肢があります。
大手タクシー会社は、安定した収入や充実した福利厚生が、中小規模の会社は地域密着型の働き方ができる点が魅力です。
自分のライフスタイルや目標に合った会社を選びましょう。
タクシードライバーの勤務体系は、基本的に昼日勤、夜日勤、隔日勤務の3つです。
特に隔日勤務は1回の勤務時間が長いものの、翌日が休みになるため、自由時間を確保しやすい特徴があります。
タクシードライバーといっても、働き方はさまざまです。
自分が希望する働き方ができる会社を選びましょう。
5-2.面接を受けて採用を勝ち取る
希望するタクシー会社に応募し書類選考に通過したら、面接を受けて採用を勝ち取る必要があります。
面接では、運転技術や接客スキル、地理知識が問われることがありますが、未経験者の場合はやる気や適応力をアピールすることが重要です。
多くのタクシー会社では、第二種運転免許の取得をサポートしており、免許取得費用を会社が負担する場合もあります。
入社後に「聞いていた話と違う」という事態にならないように、面接時には勤務体系や給与体系、福利厚生について詳しく確認することが大切です。
5-3. 研修・サポートを受ける
入社後は、接客マナー研修、安全運転講習など、さまざまな研修を受けることが一般的です。
第二種運転免許の取得が必要な場合、会社が費用を負担してくれることもあります。
研修期間中は給与が支給される場合が多く、収入の心配をすることなく学べるでしょう。
一部の会社では、最新のタクシー配車アプリの使い方や、外国人観光客への対応方法など、現代のニーズに合わせた研修を実施しています。
研修終了後も、定期的なスキルアップ講習や安全運転講習を実施している会社があり、長期的なキャリア形成をサポートしています。
6.【個人タクシー編】タクシードライバーになるには?3つのステップ
個人タクシーの運転手になるには、いくつかのステップを踏む必要があります。
この章では、個人タクシーになるために必要な3つのステップについて詳しく解説します。
6-1.運転経験を積む
個人タクシーのドライバーになるためには、以下の運転経歴を満たしている必要があります。
申請時の年齢 | 運転経歴 |
35歳未満 | ・10年以上同じタクシーまたはハイヤー事業者にドライバーとして雇用されている
・10年間無事故無違反 |
35歳以上40歳未満 | ・申請する営業区域で自動車を運転する職業に就いていた期間が10年以上である
・10年以上のうち5年以上はタクシーまたはハイヤーのドライバーである ・申請する営業区域でタクシーまたはハイヤーのドライバーとして3年以上継続して働いている ・10年間無事故無違反の場合、40歳以上65歳未満の条件を満たしていればよい |
40歳以上65歳未満 | ・申請日以前の25年間のうち、自動車を運転する職業に就いていた期間が10年以上である
・申請する営業区域において、申請日以前の3年以内に2年以上タクシーまたはハイヤーのドライバーである |
個人タクシーのドライバーになるには、運転経験と重大な違反や事故がないことが求められます。
将来的に個人タクシーを希望する場合は、安全運転を心がけましょう。
参照:国土交通省「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーに限る。)の申請に対する処分に関する処理方針」
6-2.営業区域ごとに定められた法令試験に合格する
個人タクシーのドライバーになるためには、法令試験の合格が必須です。
法令試験には、道路運送法関係やタクシー業務適正化特別措置法関係、道路運送車両法関係など法律に関わる問題が出題されます。
法令試験対策として、問題集やアプリなどを活用することで、効率的な学習が可能です。
6-3.車両購入・営業許可取得などの準備をする
個人タクシーを始めるには、車両を保有し、営業許可を取得する必要があります。
車両を購入する場合、新車では300万円~500万円程度、中古車では100万円~300万円程度の費用がかかります。
また、営業許可を取得するためには、車両の安全基準を満たすことや保険加入が必須です。
さらに、運輸局での審査が必要で、書類準備や手続きに数週間~数か月かかることがあります。
営業開始まで時間がかかるため、必要な手順やお金などを事前に十分調べてから手続きを進めるようにしましょう。
7.まとめ
タクシードライバーになるためには、第二種運転免許の取得や研修などいくつかのステップを踏む必要があります。
また、個人タクシーのドライバーの場合は、経験や資金の確保なども求められます。
勤務先によって働き方や収入が大きく異なるため、自分に合った働き方を選ぶことが大切です。
運転が好き、運転の仕事に興味があるだけでタクシードライバーを選んでしまうと、入社後にギャップを感じてしまうかもしれません。
タクシードライバーはどんな仕事なのか、自分に向いているかなどを理解してから転職活動を始めましょう。
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