2024年問題をわかりやすく解説!働き方改革が及ぼす影響とは
2023年01月25日
「2024年問題とは何か」
「今後の物流業界はどうなるのか」
働き方改革により2024年からドライバーの時間外労働が規制されることで、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
労働環境が改善されるメリットがある一方、運送会社の人手不足が加速したり、運送料を引き上げざるを得ない状況になったり、ドライバーの収入が減ったりするといったデメリットも考えられます。
そこでこの記事では、物流業界での働き方改革によって生じる2024年問題と、考えられる影響についてわかりやすく解説します。
目次
1. 2024年問題とは?
2024年問題とは、2024年に施行される働き方改革により、ドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に制限されることで、発生する問題のことです。
現在の物流業界では、トラックドライバーの高齢化による労働力不足や、EC市場の急成長による宅配便の取り扱い個数が増加し、長時間労働が常態化していることが問題視されています。
そこで物流業界の労働環境を改善する狙いのもと、自動車運転業務の時間外労働の上限が設けられました。
時間外労働の上限規制は、大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から開始されました。
ドライバーの時間外労働の規制が始まると、物流業界だけではなく医業や建設業、運送業、製造業に従事される方への適用も開始されます。
2. 2024年問題が物流業界に与える影響
2024年から始まるドライバーの時間外労働の上限規制は、物流業界の労働環境が改善されるように思われますが、さまざまな問題が発生すると予想されます。
時間外労働の制限が引き起こす主な問題を3つ解説します。
2-1. 人手不足に陥る
時間外労働が規制されると、一人のトラックドライバーの残業時間が減り、一日に運べる荷物量が少なくなります。
今までは二人で運べていた荷物が三人以上必要になるといった問題が生じるため、より多くのトラックドライバーを確保しなければなりません。
物流業界は以前から働き手が足りない状態でしたが、それに追い討ちをかけ人手不足が加速するという懸念があります。
2-2. 運送料を引き上げざるを得なくなる
一人のトラックドライバーが運べる荷物量が減るため、運送会社の利益は下がると考えられます。
また人手不足による人材の確保は、人件費の増額につながるため企業は大きな痛手を負うことになるでしょう。
運送会社はその穴埋めとして、運送料を引き上げざるを得ない状況になると予想されます。
EC(電子商取引)市場は消費者に向けたアピールポイントとして「送料無料」をうたっていましたが、荷主の物流コストが増えるため送料無料の継続は難しくなるでしょう。
2-3. トラックドライバーの収入が減る
トラックドライバーは走行距離に応じて、運行手当が支給されます。
今までは走れば走るほど収入は増えていましたが、時間外労働の規制により走れる距離が短くなると、トラックドライバーの収入は減ってしまうのです。
収入が減り稼ぐことができないと感じたトラックドライバーは離職していき、人手不足に拍車がかかると予想されます。
3. 働き方改革が適用された背景
働き方改革の正式名称は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と呼びます。
働き方改革の目的は、働く人々が仕事と生活を調和した「ワークライフバランス」を実現することです。
近年、少子高齢化によって長時間労働が可能な働き手が減少していることや、仕事と育児・介護の両立が必要な労働者への対応が遅れていることが背景にあります。
働き方改革は2018年6月に改正法が成立し、2019年4月から段階的に施行されています。
4. 働き方改革の主な改正内容
ここからは働き方改革の主な改正内容を5つご紹介します。
4-1. 時間外労働の上限規制
働き方改革の改正施行により、時間外労働に上限が設けられました。
法定労働時間に変更はありませんが、時間外労働の一般則が年間720時間、自動車運転業務が年間960時間に設定され、それを超える労働はできなくなります。
以前は労働者と使用者が合意すれば、労働者の時間外労働は規制されることはありませんでした。
しかし2024年4月からは罰則規定が追加され、法的拘束力を持つようになるのも大きな改正の一つです。
4-2. 時間外労働に対する割増賃金の引き上げ
月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、2023年4月から引き上げられます。
大企業は変わらないものの、中小企業では割増賃金率が25%以上から50%以上へと変更に。
従業員が月60時間以上の時間外労働をすると人件費が増えるため、企業は大きな痛手を負うことになります。
4-3. 年次有給休暇取得の義務化
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、最低年5日は有給を取得させる必要があります。
年次有給休暇取得の義務化はすべての企業で義務づけられ、労働者が時期を指定して有給休暇を取らなくてはいけません。
4-4. 雇用形態による待遇格差の撤廃
年次有給休暇取得の義務化は、正規雇用だけでなく非正規雇用や場合によってはパートタイマーも対象となります。
また同一労働・同一賃金により、正規雇用や非正規雇用の間で基本給や賞与に差を設けることが禁止されました。
正規雇用や非正規雇用の間で優遇差が生じるときは、優遇差についての説明が必要となります。
4-5. 違反による罰則
2024年から自動車運転業務では、時間外労働の上限が年間960時間に制限されます。
トラックドライバーが年間960時間以上の時間外労働をすると、「30万円以下の罰金または6カ月以下の懲役」の刑事罰が経営者に科せられます。
5. 物流業界が取り組むべき課題
2024年問題に対処するため、物流業界が取り組むべき主な課題は2つ挙げられます。
早めに対策を練ることで、時間外労働の規制に適応した働き方が実現できるでしょう。
5-1. 労働条件・労働環境の改善
トラックドライバーの年間賃金は、平均よりも1、2割ほど低いことが明らかとなりました。
それに加えて時間外労働の規制により、トラックドライバーの賃金はさらに低くなると予想されます。
収入の減額は離職につながるため賃金を引き上げるなどして、人材確保に向けた施策を考えなければなりません。
福利厚生の充実やフレックスタイムの導入、時短勤務の実施などを取り入れることで、働き手を増やすことが重要です。
労働条件や労働環境の見直しは若手の人材確保にもつながり、トラックドライバーの高齢化を防ぐことができるでしょう。
5-2. 業務効率化を目指す
トラックドライバーは荷物を運んだあと、受付・積み込み・荷下ろしといった「荷待ち時間」が発生します。
一人当たりの荷待ち時間は、一日平均1時間30分あるとされています。
待機時間も労働時間に含まれるため、荷待ち時間が長時間労働の原因に。
ITを活用して運行管理を電子化すれば、荷待ち時間を減らすことができトラックドライバーの長時間労働は改善されます。
現在は一人のトラックドライバーが長距離運送の全行程を担うため、運送効率が悪くなりがちです。
複数人で運送したり、一部区間を鉄道や船に変更する「モーダルシフト」を取り入れたりすることで、業務効率化を実現できます。
勤怠管理をデジタルで行う企業もありますが、出勤簿や日報といったアナログな方法で勤怠管理を行う企業もあります。
勤怠管理は時間外労働や賃金に関わるため、就業規則を明確にして行わなければなりません。
ITを活用した勤怠管理システムを導入すれば、勤怠状況を正確に把握することができるでしょう。
参考:建設業の2024年問題とは?ポイントや対策をわかりやすく解説!|ツクノビマガジン
6. まとめ
2024年問題とは、ドライバーの時間外労働の上限規制により発生する問題のことです。
今後ますます加速するドライバー不足。
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