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役員運転手(お抱え運転手)になるのは難しい?現場の実態を解説

 

役員運転手(お抱え運転手)は様々あるドライバー業務の中でも、憧れを持って見られることが少なくない職業です。

上品な着こなしをしたドライバーが高級車を颯爽と運転する姿を見て、役員運転手を目指す方も珍しくないでしょう。

 

この記事では、役員運転手になるために必要な事柄を解説します。どんな業務が特に難しいか、磨くべき資質などについて詳細をご紹介します。

 

1、役員運転手(お抱え運転手)の業務で難しいこと

 

 

自家用車を運転する場合と役員運転手の業務とは大きく異なります。

いずれの場合も自分自身や同乗者またはお客様の命を預かっていて、安全で正確な運転を行うべきであることに変わりはありません。

 

しかし、役員運転手は会社役員の方や官公庁の方などVIP層のお客様に対して乗務を遂行する分、ドライビングワークや接客において普通以上の意識を向ける必要があります。

 

役員運転手の業務において難しいことには、以下のような点が挙げられます。

 

1-1 高レベルの運転スキル

 

役員運転手にはかなりの運転技術が求められます。

社用車の種類やアクセル・ブレーキワーク・道路状況などによって、最適な運転を心がける必要があるからです。

 

具体的なポイントを見ていきましょう。

 

1-1-1. 役員車は高級車が多い

 

運転する社用車には様々なタイプの車両がありますが、基本的に役員の方を送迎する性質上、高級車になることが多いです。

例えば、レクサスやBMW・メルセデスベンツなどの高級自動車メーカーなどです。

 

高級車は概してサイズが大きくなるため、軽自動車や小型セダンを運転する要領では乗り回すことはできません。

セダンだけではなくアルファードの上位クラスなど、さらに車格が大きいミニバン車を運転する必要が生じることもあります。

 

また、外車の場合は左ハンドルの運転となる場合もあるため、感覚の違う運転を強いられる場合もあります。

 

高級車であるがゆえに「少しでも傷をつけたらまずい」というプレッシャーも少なからず感じるはずです。

 

1-1-2. シビアなアクセル・ブレーキワークが求められる

 

安全運転はどの車を運転する際も基本原則ですが、役員運転手は常にお客様の快適な乗り心地を追求する必要があります。

 

例えば、スムーズなアクセルワークやブレーキ操作を心がける必要があります。

 

停車状態から発信する時やスピードを上げる際には、徐々にアクセルを踏む必要があります。いつ発進したのかお客様が気づかないほどのスムーズさでアクセルを踏まなければなりません。

 

ブレーキにおいても同様で、いつ停止したのかが分からないほど自然でふんわりとしたブレーキワークが肝心です。急加速や急ブレーキはNGです。

 

これらのポイントは基本中の基本とはいえ、意外と難しい場合が少なくありません。

 

信号が多い場所を走っている際は、信号のタイミングによって思わず急ブレーキをしてしまう恐れがあります。また、周りの車の流れや後ろから来る車のプレッシャーなどによって、急加速してしまうことも十分あり得ます。

 

どんな状況であっても緩やかで落ち着いて席に座っていられるような運転を心がけるのは、意外と難しいものです。

 

1-1-3. 道路・交通状況によって運転難易度が上がる

 

首都高のようにカーブが多い場所を運転する場合は、車両スピードと同時に遠心力の問題も考慮する必要があります。

当然ですが、スピードを上げてカーブに突入すれば体が左右に大きく振れることになります。

 

そのような状況ではお客様は決して快適に車内空間を過ごすことはできません。

 

また、交通量が多い場合は車間距離が詰まりやすく、ひいては追突事故のリスクが高まります。

車間距離を十分に開けつつ絶妙なアクセル・ブレーキワークを実現するのは簡単ではありません。

 

さらに、ダンプカーのような大型車が前方を走っている場合は、飛び石による車両ダメージを意識する必要もあります。

自責ではないとはいえ、プロの役員運転手はお客様所有の車両を運転している時は、いかなる傷もつけない意識を持つ必要があります。

 

1-2 守秘義務の厳守

 

役員運転手には守秘義務が求められます。

お客様の企業に関連した重要な情報を偶発的に見聞きしてしまった場合は、上司や家族も含めて決して他言してはなりません。

 

また、一見ささいな事に思えるような情報でも決して口外すべきではありません。

例えば、会社社長の送迎を担当している際に会長の予定を聞かれても、安易に答えることはできません。他の役員の食事の好みや予定・家族構成など、重要とは思えない情報も漏らしません。

 

原則的に、車の乗り心地や同乗している役員の方自身のその日の予定・ドライバー自身に関して尋ねられた事以外は、何を聞かれても話を逸らしたり「存じません」と返す必要があります。

 

ささいな事であっても「この運転手は他の人に関する情報を話した」というイメージがつけば信頼を失いますし、そのような情報から意外なほころびが生まれてトラブルに発展することもありうるからです。

 

様々なことをお客様から尋ねられた際に、プレッシャーに折れずに「知らぬ存ぜぬ」を通し続けるのは容易ではありません。

相手がお客様という上位の立場の方であるだけでなく、やはりお客様の声に応えたいという気持ちがあるため、ある程度の圧力は感じるからです。

 

1-3 徹底的な情報収集が求められる

 

スムーズな運転を心がけるには、徹底的な情報収集が欠かせません。

例えば渋滞を回避するために、様々な地理情報や交通状況を把握することが大切です。例えば以下のようなポイントに精通することが求められます。

 

・主要な建物の名称

・右折禁止レーンや進入禁止ゾーン

・現在走行中の通りの名前や地域名

・走行ルートにおける時間帯別の交通量

・高速出入口や目的地までの数通りの道のり

・信号のタイミング

・週末や混雑日の渋滞度

・国賓関係者来日の予定や通行規制

・雨の日の交通量

・業務日の天気予報や交通情報

・工事現場の場所や終了日時

・カーブが多い地点

・高速の車線数

 

これらは一例ですが、このような情報を的確かつ適切なタイミングで調査する必要があります。

覚えることや調べることが多いため、地理感に疎い場合や物を覚えることが苦手な場合には難しく感じることもあるでしょう。

 

2、役員運転手(お抱え運転手)に向いている方の3つのタイプとは?

 

 

多くの仕事には得手・不得手というものがあります。

役員運転手も同じく、業務に向いている方とそうでない方がいらっしゃいます。

 

役員運転手に向いている方は以下のようなタイプの方です。

 

2-1 運転に集中できる方

 

安全運転への意識が高い方、例えばハンドル操作や周囲の状況の確認がしっかりできる方は資質があります。

何よりもお客様を目的地へ安全に送迎することが最重要項目だからです。

 

交通状況は刻一刻と変化していて、周囲のドライバーや歩行者は予測不能な動きをすることがあります。

また、気象状況によって路面の危険度も高まることがあります。

 

どのような状況においても適度なスピードを保ち、対物・対人・自損事故を決して起こさない運転手は重宝されます。

無事故・無違反の履歴が長い方や、音楽や周囲の景色に気を取られず集中して運転できるのは大切です。

 

2-2 口が堅い方

 

先述の通り、派遣会社の信頼性を守るためには運転手の守秘義務履行が絶対条件です。

咄嗟にクライアント企業内の他の役員や従業員について尋ねられても、口を割らない準備ができていることが重要です。

 

口が軽い人や雑談の多い人などは向いていません。

どんなことを聞かれそうかをシミュレーションし、どのように受け流すかをイメージを持てる方が役員運転手に向いています。

 

2-3 細かな配慮ができる方

 

役員運転手は一流ホテルマンのような細やかな配慮ができなければなりません。

ドアサービスはもちろんのこと、車内温度の調節や車内清掃に常に気を配るとともに、目的地(施設)の情報や天候などお客様にとって役立つ情報も下調べしておくといった配慮が求められます。

 

お客様の体調を観察して秘書の方に連絡したり、好みの銘柄のおタバコを用意するといった心遣いも大切です。

相手の一挙手一投足をよく観察できる方や、進んで他の人のために動ける方は役員運転手の資質があると言えるでしょう。

 

3、まとめ

 

役員運転手(お抱え運転手)の業務は決して簡単なものではありません。

本業の運転業務を高スキルでこなすことはもちろん、守秘義務への意識も高くなければなりません。

 

「運転が好き」というのは良い点ですが、それ以上に安全運転を達成する集中力やスキル・誠実で信頼できること・相手を常に気遣う配慮の意識などを総合的に持ち合わせた方が、役員運転手として成功することができます。

 

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